松島恵きもの教室

~きものカルチャー研究所福井南教室~


キモノ、コワイ?

◆ キモノ、コワイ? ◆

私が初めて「きもの」に触れたのは、記憶にない頃でした。
写真で七五三の時に「きもの」を着た姿が残っていますし、 その他にも幼稚園の行事で浴衣を着た姿が残っています。
けれど記憶にはなく、もちろん自分で選んだものを着たわけでもありません。
最初に自分で選んだ「きもの」を着たのは、成人式の振袖だと思います。
洋服では絶対選ばないような色合いの物を選び、その煌びやかさに心が躍ったのを覚えています。
その後も何度か「きもの」を着る機会を得て、その華やかさに憧れのような気持ちを募らせてきました。

けれど成人式から20年もの間、「きもの」が身近になることはありませんでした。
むしろ私にとって「きもの」はとてつもなくハードルの高いものでした。
まず、自分では着られません。
そもそも着る以前の問題で、実は「きもの」を畳むことすら出来ませんでした。
畳めないので、自分の手持ちの「きもの」を広げて見ることすら出来ません。
それに着るには様々な小物を必要としますが、どの小物が必要で、どのように使うのかも分かりません。
しかも「きもの」や帯の種類には『格』があり、 その違いによって着て行ける場所にも違いがあると聞けばもうお手上げです。

だからこそ、私は着付を学びたいと思いました。
「きもの」を身近なものにする為に、「きもの」の事をきちんと知りたいと思ったのです。

しかし、この着付を習う場を探すのがまたハードルの高いものでした。
今の時代、ネット検索で様々な情報を得ることが出来ます。
そんな中、「きもの」業界の怖い噂も目に飛び込んで来ました。
着付教室の良し悪しを見極められる目も知識もない私は、 結局どの着付教室も選べないままに時を過ごして来たのです。

幸い、私はきものカルチャー研究所のお教室に出会いました。
それにより「きもの」を着られるようになり、更に「きもの」の魅力の虜になり、 とうとうお教室を開くまでになりました。


私が「きもの」の世界に恐怖心と猜疑心を抱いていたように、 同じく「きもの」に興味があるのにその世界に飛び込めないまま足踏みしている人がいると思います。
結局は「知らない」「分からない」ということが不安を生んでいるのでしょう。
なので最初に一歩を踏み出す為のちょっとした一押しになりますように、 私が「きもの」の世界に触れた時にはどうだったのか、少しお話してみたいと思います。
私個人の経験・見解も多分にありますし、長くて読み難いかもしれませんが、ご参考までに。

◆ 目次 ◆

「きもの」を着る時に使っているもの
お教室で買ったもの
本当に「きもの」を一人で着られるようになるのか
何故「きものカルチャー研究所」のお教室を選んだのか
一人で「きもの」を着られても、着る機会ある?

◆ 「きもの」を着る時に使っているもの ◆

初めて「きもの」の世界に触れようと思った時にまず私が躓いた点は、 着るために必要なものが分からなかったことでした。
嫁入りの時に両親にきもの一式を揃えて貰っておりましたが、 いざ着るとなった時にはたとえ着付をお願いするにしても必要なものを一人では揃えられなかったのです。
そこで参考までに、まずは私が「きもの」を着る際に使っているものを挙げてみました。
帯をお太鼓結びにする際には、これだけのものを使っております。

まず、肌に直接触れるものとして、 和装ブラジャー、きものスリップ、足袋 を使っております。
「きもの」を着る際には、出来るだけ凹凸のないずん胴型に体型を補正しますので、 洋服の時に身に着けるような胸をふっくらと見せる為のブラジャーは使いません。
私自身、着付を習い始めるまでに成人式や結婚式などで「きもの」を着る機会が何度かありましたが、 その際は和装ブラジャーを持っておらず、 肌に触れるものとしては足袋ときものスリップのみで「きもの」を着ておりました。
なのでお手元にない場合は、和装ブラジャーはなくても大丈夫です。
しかしながら、私のように胸元がふくよかな場合は なだらかなラインを作る為に和装ブラジャーを使用した方が着付が綺麗に仕上がると思います。
次に必要になるのが 補正タオル です。
先に申し上げました通り、ずん胴体型に補正する為に使います。
私は元々くびれとご縁のない体型ですので、背中側の腰のくぼみに宛がう程度で済みます。
体型によっては何枚も必要なこともありますが、 そのような場合でも薄手のタオルの方が補正には使い勝手が良いでしょう。
補正が終わると 衣紋抜き、半衿、襟芯 が付いている 長襦袢 を身に着けます。
衣紋抜きとは「きもの」の首の後ろ側が詰まって来ないように使うもので、 あらかじめ長襦袢に直接縫い付けて使います。
これは使うと便利ですが、なくても「きもの」を着ることは可能です。
半衿も同じく長襦袢にあらかじめ縫い付けて使うもので、 装飾的な意味合いであったり取り外して洗う為の替え襟のようなものと思って良いかと思います。
この半衿と長襦袢の襟の間に襟芯を通して襟元の形を整えますので、 半衿と襟芯は必須と思って下さい。
そして次に きもの を着ます。
長襦袢ときものを着付ける時に必要になってくるのが 腰紐、伊達締め、コーリンベルト です。
腰紐は長襦袢で1本、きもので2本、この後の帯結びの際にもう1本(これは最終的には外します)使いますので、 合計4本使用します。
伊達締めは長襦袢ときもので1本ずつ、合計2本使っています。
コーリンベルトはきものの襟元を決める為に1本使用していますが、 人によっては長襦袢でも使ったりするようです。
コーリンベルトに関しては、その役割を腰紐に変えることも出来ますので、 お持ちでない場合は腰紐を私より1本多く用意なされば大丈夫です。
最後は を結びます。
その際に必要なのが 帯板、帯枕、帯揚げ、帯締め です。
帯板は帯に皺が寄るのを防ぐ為に使います。
帯枕は帯結びの形を作るのに使いますが、帯結びの種類によって使うものが変わったり、 中には使わない場合もあります。
帯揚げは帯枕に被せて使い、帯締めは帯の結びを押さえる為に使います。
以上のものを使って「きもの」を着るわけですが、 着るにしても着せるにしても中心がずれるのを防止したりする為に きものクリップ を使っています。
私は中ぐらいの大きさのものを3つ使っておりますが、用途に応じて大きいものや小さいものを使う場合もあります。

◆ お教室で買ったもの ◆

「きもの」を着る時に使っているもので実際に私が使っているものを挙げましたが、 この中でお教室で購入したものは以下の通りです。

和装ブラジャー、衣紋抜き、半衿、伊達締め、きものクリップ、帯板

実は私の場合、嫁入りの際に両親に一式揃えて貰っていたこともあって、 何かを買わなければお稽古できないということはありませんでした。
お稽古の前に先生に手持ちのものをご確認頂き、 何も買い足さなくてもお稽古は出来ますよと言って頂いておりました。
その上で、あると便利なものやもう少し数があると良いものを教えて頂き、 納得した上で買い足したのです。
もちろんこの時、他の場所で買い足すことも可能でしたが、 自分の力できちんとしたものを探す自信もなかったので、お教室で注文させて頂きました。
今の時代、ネットで買うことも出来ますので、どこで買うかは生徒さんにご自由に選んで頂けます。
ご安心下さい。

ちなみに私が使っている着付小物を全てお教室で揃えた場合、一体いくらかかるでしょうか?
「きもの」を着る時に使っているものから 長襦袢、きもの、帯、帯締め、帯揚げ、補正タオルを省いて計算してみました。
合計:20,760円~28,960円(2018年現在の価格です。以降料金改定がございますが再計算は行いません。あくまでも目安金額として参考にして下さい)
下限はサイズや質の関係で複数ある中から最安値のものを選び、 更にコーリンベルトは使わない場合で計算しました。
上限は逆に最高値のものを選び、コーリンベルトも含めた場合で計算してあります。
私はきものスリップを使っておりますのでそのお値段で計算しておりますが、 代わりに肌着と裾除で揃える場合はもう少し金額が上がります。
腰紐は3本セットの販売なので2セット・6本での金額です。

全てを一から揃えるとなるとやはりそれなりの金額になりますが、 お母様やおばあ様など、ご家族が使ってらしたものが家のどこかに眠っているかもしれません。
まずは何か使えるものがないか、お探しになることをお勧め致します。

◆ 本当に「きもの」を一人で着られるようになるのか ◆

きものカルチャー研究所の初等科のカリキュラムは、1回2時間・全16回のコースです。
週に1回でお稽古を進めたとして、1ヶ月に4回。
すると約4か月でコースを修了することになります。
ひとりで着られると銘打ったコースですが、4か月で本当に着られるようになるのでしょうか?

私自身、入学したのが4月でした。
講師紹介のページをご覧頂ければ分かると思いますが、 実際に初等科を修了したのは同じ年の11月になります。
これだけを見ると8か月かかってしまっており、やはり4か月というのは嘘かと思われてしまうかもしれません。
しかし違います。
このズレは、途中にお休みをしていた期間があったからです。
7-9月の暑い盛りの時期、私の仕事が繁忙を迎える時期でもありお稽古をお休みさせて頂いておりました。
加えて私や先生の都合により、他にも何度かお稽古をお休みする週があり、 期間で言えば終了までに8か月かかってしまったのです。

実はきものカルチャー研究所に入学した私には、その年の10月に友人の結婚式に出席する予定があり、 その時に「きもの」を着るつもりでおりました。
予定が決まった当初は母に着付けをお願いしていたのですが、 先生と巡り会った春に自分で「きもの」を着て行くのに間に合うかとお尋ねしたところ、 「大丈夫。今からでも十分間に合いますよ」と言って頂きました。
実際には夏の休学期間を挟んで修了は11月になってしまったものの 全16回のお稽古だけでコースを修了したことに加え、 先生のお言葉通り友人の結婚式には自分で着付けをして出かけることが出来ました。

それでは1回2時間・全16回のお稽古をすれば、それだけで着られるようになるのねと思われるかもしれません。
しかし、それもまた違います。
お稽古では先生に着付の方法を教わり、実際に自分で着付けてみます。
時間が許す限り、上手くいかないところを練習して直していき、 時には自分に合った着付方を先生と試行錯誤もします。
けれど先生からの助言なく一人で着る為には、お稽古の時間以外の練習が不可欠でした。
もちろん私より飲み込みの良い方でしたら、あるいはお稽古の時間だけで着付をマスター出来るかもしれません。
しかし修了試験の実技では時間制限もあり、 それをクリアする為にはいくつもある手順一つ一つを全てやり直しなく1度で済まさなくてはなりません。
その為には自宅での反復練習が不可欠でした。
しかも自宅で一人復習すると、先生と一緒の時には出来たはずのことが出来なくなるのです。
その度に次のお稽古で先生にもう一度分からなくなった箇所を教えて頂き、 また自宅で練習する、その繰り返しでした。
先生に傍についていて貰いながらお稽古するのはもちろん大事です。
けれど修了試験合格という目先の目標の為に自宅で繰り返した練習は、 コース修了後一人で「きもの」を着る為にとても大切な時間だったのだと今では思います。

◆ 何故「きものカルチャー研究所」のお教室を選んだのか ◆

着付を習う場は様々です。
身近に「きもの」を着る方がいらっしゃれば、その方に習うことも出来るでしょう。
着付に関する本を読んで勉強するという方法もあります。
本ではちょっと分かりにくいと思えば、今の時代、 ネットで検索をすれば着付の方法を教えている動画もたくさん出てきます。
そして着付教室に通うのも、もちろん方法の一つです。

私も単純に「きもの」を着たいという願いを叶える為だけなら、本やネットで事足りると思っていました。
実際、浴衣はそうして着たことがあります。
けれど少しだけ「きもの」のことを知ると、何だか色んな種類の「きもの」があるし、 それぞれに着て行ける場所も違うようだしと、中途半端な知識では着られないなと思ってしまいました。
なので着付を覚えるなら、「きもの」に関する知識も得られるようお教室に通おうと思ったのです。
しかし実際にお教室を探すと、着付教室で必要のない小物を買わされたとか、 展示会に連れて行かれて契約するまで帰して貰えなかったなど、コワイ噂がちらほらと……。
純粋に着付を教えてくれる教室がどこなのかを見分ける目など持ち合わせておらず、 全く知らない着付教室に飛び込んでみる勇気はとても出ませんでした。

「きもの」を着られるようになりたいと思い始めてから、時間はあっという間に過ぎていきました。
私としても「いずれ着られるようになればいい」ぐらいの気持ちだったこともあり、 積極的に着付教室を探すという状態ではありませんでしたし。
そんな時、仕事を通じて仲良くなった方とプライベートで初めてご一緒した時のことです。
待ち合わせの場所にその方は「きもの」で現れました。
その方に『自分で「きもの」を着られるの?』とお聞きしたところ、 「きものカルチャー研究所」の認定教室を開いておられたのです。

偶然にも「きもの」と全く関係のないところで着付の先生と巡り会ったわけですが、 知り合いだという理由だけで教えを請うには「きもの」の世界の噂は私を疑心暗鬼にさせていました。
不躾なのは承知の上で色々と質問させて頂いたのですが、 先生はそういうことが気になるのは当然よねと言った雰囲気であっけらかんとお答え下さいました。
・お稽古に関する料金はあらかじめ明示されていること
・「きもの」を着る予定のある半年後には一人で「きもの」を着られるようになること
・お稽古で『商品』に触れる機会がないことはないけれど、無理矢理買わされることはないこと
・一応は曜日と時間を決めて週1回のお稽古の予定だけど、都合によって別の日に振り替えることも可能なこと
このような答えをはっきりと頂き、ようやく私は通いたいと思える着付教室と出会えたのです。

こちらをご覧の方のほとんどは私と面識がないことでしょう。
なので私のお教室を選んで頂くには、元々知っている方が先生になって下さった私以上に勇気が必要と思います。
私も「きもの」を着たいと思いながらも、伝手のない着付教室に飛び込めなかった経験を持っております。
ですから、その気持ちはよく分かります。
その尻込みする気持ちは、私がそうしたように質問をぶつけることによって解消するかもしれません。
まずは質問だけでも遠慮なくどうぞ。

◆ 一人で「きもの」を着られても、着る機会ある? ◆

そもそも「きもの」を着られるようになったとして、着る機会がないのではないか?
そう思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本当に「きもの」を一人で着られるようになるのか何故「きものカルチャー研究所」のお教室を選んだのかでも少し触れましたが、 私自身はお教室に通い始めた時に『友人の結婚式に自分で「きもの」を着て出席したい』という目標がありました。
第一に「きもの」を着る場面に思い浮かぶのは、『礼装』としての「きもの」だったからです。
また嫁入りの時点でそのうち一人で「きもの」が着られるようになるといいなと思い、 礼装以外に数点、普段にも着られるような「きもの」を用意してもらっておりましたが、 それもちょっとお洒落をして出掛けようという時に、 「きもの」を着ることを選べると素敵だなと思ってのことでした。

そう。
着付を学ぶ前の私が思い浮かべる「きもの」を着るシーンは、ちょっと改まった席だけでした。
同じ様に考える方は多いと思います。
実際、着付を習おうとする私に『着付を覚えても着ていく場所がないでしょう』 『着ないと着付なんて忘れちゃうわよ』と言った人もいます。
これも「きもの」を着て行くのは特別な場所だけだと思っているからでしょう。

もともと仕事を通じて仲良くなった方が私の着付の先生となって下さったのですが、 私が先生から教わったのは着付だけではありませんでした。
職場では洋服を着ていらした先生ですが、 それ以外でお会いする時には「きもの」を着ていらっしゃることが多々ありました。
もちろん着付講師としての宣伝も兼ねてはいたのでしょう。
けれど職場には服務規定があるので「きもの」でいらっしゃることはありませんでしたが (履物が規定に引っかかるので着られないのです)、 職場の懇親の場などには気軽に「きもの」で参加されていました。
聞けば、お子さんの学校へもよく「きもの」で出向かれていたそうです。
初めての場所だと『なぜ「きもの」を着ているの?』と聞かれるけれど、 慣れればこの人は「きもの」の人なんだと認識されて何も言われないわよとあっけらかんとおっしゃっていました。
加えて私のお稽古の時間帯が夕方から夜にかけてでしたので、 お稽古の直後に先生が「きもの」を着たまま、お子さんの為に夕飯の支度をする姿も何度もお見かけしました。
先生の生活には当たり前に『服』の一つとして「きもの」が存在しており、 私はそれを目の当たりにすることで、「きもの」はただの『服』の一種に過ぎないのだと教わったのです。

一番最初に自分で「きもの」を着て出掛けた友人の結婚式は数時間のことでした。
たったそれだけのお出掛けでしたが、それでも達成感を得たのを覚えています。
その後も「きもの」を着てのお出掛けの回数を重ね、 自信を深めたのと同時に、「きもの」を着て出掛ける先に制限などないのだなと実感もしました。
要は自分が「きもの」を着たいかどうかで、着る機会は増えもすれば減りもするのです。

今の私が「きもの」を着て出掛けてみたいなと思うのは、旅行です。
ちょっと遠くの出先で「きもの」着て、そのまま帰って来たことはあるのですが、 「きもの」を着て旅行に出たことはないので近いうちに実現したいですね。
それと生徒さんとお茶でもランチでも良いので、一緒にお出掛けしたいです。
もちろん「きもの」で。

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